ニューモシスチス 肺炎 治療。 【医師監修】ニューモシスチス・カリニ肺炎の治療薬「®ST合剤:バクタ」とは?

ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)の原因、症状、治療、再発可能性|アスクドクターズトピックス

ニューモシスチス 肺炎 治療

概念 Pneumocystis jiroveciによるであり,感染症の1つとして,HIV感染症などの免疫不全患者にニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jiroveci pneumonia:PCP)を発症する. 病因 ニューモシスチス肺炎はP. jiroveciによって発症する日和見感染症である.P. jiroveciは,病変組織の中では囊子あるいは栄養体として観察される.その形態により以前は原虫と考えられていたが,遺伝子解析などによって現在は真菌に分類されている. 幼少期に多くのヒトが初感染していることがわかっており,潜伏感染から免疫不全によって再燃し発症する場合と,免疫不全状態が進行した患者への新規再感染が考えられるが,現在は後者の方が多いといわれている.詳細な感染経路は不明であるが飛沫感染による伝播も指摘されている. 疫学 免疫不全に伴って発症する日和見感染症であるため,HIV感染症や血液疾患,あるいは免疫抑制薬を使用している移植患者,抗癌薬や副腎皮質ステロイド薬投与などの医原性の免疫不全が背景にあることがほとんどである.特にが最初に報告された1981年からは,HIV感染症がニューモシスチス肺炎を発症する代表的な基礎疾患となり,AIDS指標疾患の中でも最も多くみられるようになっている. 病態生理 原因微生物であるP. MMWR, 58 RR-4:6-10, 2009. 出典 内科学 第10版 内科学 第10版について の解説 どんな病気か ニューモシスチスは真菌の一種で、ヒトの細胞性免疫が低下状態になった時に、両側性として発症します。 とくに、抗がん薬治療や副腎皮質ステロイド療法を受けている患者さん、自己免疫疾患、臓器移植、、先天性免疫不全の患者さんに合併して発症します。 どのように感染するか ニューモシスチスは、ヒトの肺に潜在的に寄生していますが、免疫の低下により顕性化し、肺胞内に充満するように増殖します。 このため酸素がうまく血液中に取り込めず、低酸素血症が起こってきます。 症状の現れ方 空咳 からせき で始まり、やがて呼吸困難、発熱、低酸素血症へと進展しますが、早い時期から呼吸困難が強いことが特徴です。 また、免疫応答がほとんど生じないため、肺胞内の液体成分に乏しく、痰が出にくいのが特徴です。 HIV(エイズウイルス)に感染している患者さんとそうでない患者さん(非HIV)では進行速度に差があり、前者では比較的ゆっくりと進行するのに対し、後者では数日の経過で急速に進行します。 検査と診断 に検査と診断のフローチャートを示しました。 胸部CTでは肺胞中心性の肺野濃度上昇がびまん性にみられますが、区域によって濃淡のある地図状分布を示すことが多く、 気腫性 きしゅせい 変化もよく認められます。 確定診断は、 喀痰 かくたん 、気管支肺胞洗浄液あるいは経気管支的肺生検の材料から染色で菌体の証明、あるいはで決定されます。 治療の方法 主な治療薬は、ST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤とペンタミジンです()。 治療薬の選択は、基礎疾患や骨髄・肝腎機能にもよりますが、ST合剤が最も有効であり第一選択薬です。 ST合剤には経口と経静脈の2つの投与ルートがありますが、注射薬は溶解度の点から多量の水負荷が必要であり、経口投与でも十分な体内移行が得られるため、経口投与が望ましいとされています。 治療期間は3週間が標準です。 そのほか、初期からの副腎皮質ステロイドホルモン薬の併用は、予後を改善することが明らかとなっています。 宮下 修行.

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ニューモシスチス肺炎治療薬 「サムチレール®内用懸濁液15%」、承認取得

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Part III.真菌性疾患 3.ニューモシスチス肺炎—治療,予防ともに患者の背景疾患・免疫状態を理解することが重要 Pneumocystis pneumonia(PCP) 1,2 , 3,4,5 1,2 , 3,4,5 1がん・感染症センター都立駒込病院 感染症科 2長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科 熱帯医学修士課程 3国立国際医療研究センター 国際医療協力局 4ハーバード公衆衛生大学院 5杏林大学医学部総合医療学教室 感染症科 1Department of Infectious Diseases Tokyo Metropolitan Komagome Hospital 2Master of Tropical Medicine School of Tropical Medicine and Global Health Nagasaki University 3Bureau of International Health Cooperation National Center for Global Health and Medicine 4Department of Environmental Health Harvard T. Chan School of Public Health 5Department of General Medicine Kyorin University School of Medicine pp. Pneumocystisは1909年にCarlos Chagas 1)によって,モルモットに感染したトリパノソーマの生活環の一形態として発表された。 以後,ヒト由来のPneumocystisがラットから同定されたものとは別種であることや,原虫ではなく新種の真菌であることが判明し,P. jiroveciiに学名が修正された 3〜5)。 PCPはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者における代表的な日和見感染症として知られているが,背景疾患や免疫抑制剤の使用により免疫機能が低下した患者においても,重篤な呼吸不全をきたす。 本稿では,HIV感染症に合併したPCP(HIV-PCP)とHIV感染症以外の背景疾患に合併したPCP(non HIV-PCP:NH-PCP)に分け,それぞれの病態における患者背景,臨床所見,診断,治療について概説する。 Pneumocystis pneumonia (PCP) is an opportunistic infection caused by Pneumocystis jirovecii. The clinical manifestations of PCP are diverse and greatly affected by the underlying condition. The clinical course of non-HIV-related PCP (NH-PCP) is rapid and typically presents as fulminant respiratory failure, whereas HIV-related PCP (HIV-PCP) is usually indolent. The definitive diagnosis of PCP requires detection of the organism from respiratory specimens usually obtained by bronchoscopy. However, clinicians are often challenged to make a definitive diagnosis due to the inability to obtain the necessary specimen. Therefore, a presumptive diagnosis is often made by serum tests, imaging findings and molecular techniques. Appropriate risk evaluation and antimicrobial prophylaxis is essential for PCP prevention. Clinicians should be aware of the many side effects caused by anti-PCP drugs. Adjunctive corticosteroid administration is recommended for moderate to severe HIV-PCP, but its efficacy in patients with NH-PCP remains to be elucidated.

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ニューモシスチス肺炎のまめ知識(文献メモ)

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ニューモシスチス肺炎(PCP) Last updated: 2018-03-22 病原体 ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumounia, 以下PCP)は、 Pneumocystis jirovecii( P. jirovecii を病原体として、細胞性免疫が高度に障害された宿主で発症する日和見疾患である。 抗HIV治療(ART)が可能ななった現在でも、HIV患者における最も頻度の高いエイズ指標疾患である。 臨床像 非HIV症例におけるPCPとは異なり、HIV合併PCPでは免疫不全による炎症反応の弱さを反映して、膿性痰の喀出はなく、咳はあっても軽度で、肺野の聴診所見も重症例ではcrackleが聴取できるが多くは正常である。 亜急性に進行するため、低酸素の割に呼吸苦をあまり訴えない。 PCP発症前の数ヶ月で10kg程度の体重減少が稀ではなく、多くの症例でるいそうを認める。 口腔カンジダも高率に合併していることが多い。 診断 画像所見では、両側びまん性のスリガラス様陰影を認める(写真1)。 病変内に散在する嚢胞性変化は頻度は高くないが、PCPを疑う特徴的な所見である(写真2)。 画像所見で、単発性嚢胞性病変(写真3、肺クリプトコックス症合併)、病変が非対称な場合(写真4、ノカルジア肺炎合併)など、PCPに非典型的な所見が見られる場合には、他の合併疾患の存在を疑い、気管支内視鏡検査による侵襲的検査を積極的に検討すべきである。 血液検査ではAIDS発症に関連した骨髄抑制により汎血球減少がしばしば見られる。 jiroveciiのcolonizationでも陽性となるため、本検査が陰性の場合にはPCPをほぼ除外できる (注)。 臨床像および画像所見、検査所見が本症に典型的であれば、臨床的にPCPと診断して良い。 ただし、当科ではAIDS発症期における重複感染の可能性を考慮し、喀痰抗酸菌塗沫3回と血清クリプトコックス抗原を提出し、肺結核が完全に否定できるまでは個室入院下で(陰圧ではない)N95マスク対応としている。 気管支内視鏡検査はPCPの確定診断と合併疾患の除外を目的に実施する。 胸部CT検査で洗浄部位を選定し(他の部位と陰影の性状の異なる部位を選択する)40-60mlの生理食塩水で気管支洗浄を行う。 洗浄液のサイトスピン標本をDiff-Quik染色(写真5)またはGrocott染色を行い、菌体が証明できれば診断が確定できる。 他疾患合併の除外のため、細菌培養、抗酸菌塗抹・培養およびPCR、細胞診(細胞分画、CMV封入体)を提出する。 クリプトコックス肺炎を疑う場合にはPAS染色の追加も推奨される。 写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 治療 治療の第一選択はST合剤であるが、HIV患者では薬剤熱などの有害事象が高率で3週間の治療期間を完遂できるのは自験例では2割程度である。 Atovaquoneは最も忍容性が高いが、抗菌活性は低く重症例では推奨されない。 さらに食後内服でなければ吸収率が極端に低下する点、半減期が60-70時間と長いため有害事象が発生した場合には中止後も長期に遷延しうる点などにも注意が必要である。 治療期間は合計21日間であり、その後は抗HIV治療 ART により免疫能が回復するまで二次予防を継続する必要がある。 ARTについては米国DHHSガイドラインでは、PCP治療開始と同時に行うことを推奨しているが、 1 PCP治療薬の副作用頻度が高いこと、 2 臨床的に改善が見られない時に、PCPの自然経過なのかARTによる免疫再構築症候群 IRIS が起こっているのか判断が不可能である、という問題点がある。 以上を考慮し、IRISの回避を目的としてACCではPCPの治療終了後2-3週経過してからARTを導入することが多い。 ただし、重度免疫不全例やPCPに関連した気胸合併例など早期の免疫能回復が望ましいと判断される例では、IRISに注意しながら個別にART導入時期を判断している。 病態により使い分けて良い。 Clin Infect Dis. 2009 Oct 1;49 7 :1128-31 2 Shibata S, Nishijima T, Aoki T, et al. A 21-Day of Adjunctive Corticosteroid Use May Not Be Necessary for HIV-1-Infected Pneumocystis Pneumonia with Moderate and Severe Disease. PLoS One. 2015 Sep 22;10 9 :e0138926.

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