ウニ の 発生。 「高校生物」ウニの受精過程と多精拒否の詳細をわかりやすく解説|高校生物の学び舎

ウニとカエル、発生面でのメカニズム、その違いと共通点とは?

ウニ の 発生

お問合せが多いので、2020年の日程予定について加筆しました( 青色文字部分)。 2020年のウニ発生実験のご案内ページも作りました。 このページは、理科室カフェにご参加いただき、夏休みの自由研究にまとめようとしている方用に実験の手順や飼育の方法などを記録しておくことと、次の日程予定を掲載するものです。 【ウニのシーズン】 わたしたちが食べているウニの部分は生殖器です。 お寿司屋さんの軍艦巻の上に乗っているウニはオスメスの区別はつきませんね。 オスもメスも生殖器はあんな形をしています。 ここでシーズンというのはウニが卵・精子を持つ季節です。 バフンウニでは冬から春、ムラサキウニは夏、アカウニでは秋に、ウニたちは卵・精子を作り子孫を残します。 発生の実験はこの季節に限られます。 そしてバフンウニが一番やりやすく、受精膜も明瞭で、その後の飼育もしやすいので、きらら舎ではこれをメインにしています。 夏にはムラサキウニでも実験を行いますが、ウニの輸送時の温度管理や実験時の棘の処理、ウニになってからの飼育など、バフンウニに比べて難易度が上がります。 また、アカウニはなかなか採取・入手ができません。 【きらら舎のワークショップ】 きらら舎のワークショップでは1月下旬から2月下旬にバフンウニで1回。 3月下旬から4月上旬でバフンウニの2回目を行うようにしていました。 しかし近年、関東近海の海水温が上昇しているため、2020年は最初のワークショップは2月22日(土)を予定しています。 1回目の実験はシーズンの開始直後に、一番いい状態(満月か新月の翌日)に採取してもらったものを使います。 2回目の実験は磯研修に参加する時に採取したものを使って行います。 2020年は4月の予定です。 詳細は磯研修日が決定次第、このページを更新します。 なお、磯研修開催が土曜日となるため、土曜日はカフェはお休み。 磯研修で採集したものを翌日にA. 1回目の実験ではほぼ確実に実験を行い、放精・放卵の体験、未受精卵と精子の観察・撮影。 その後にお持ちのスマホやタブレット上にて受精させます。 受精膜があがるまでを観察します。 その後、受精卵~プルテウスをお持ち帰りいただいて飼育ができます。 通常、学校で実験を行った後、生徒に継続して飼育・観察をさせるポケット飼育というものがあります。 ここで使う飼育容器は小さなチューブですが、きらら舎では2019年から大きな培養フラスコにてお渡ししています。 綿密に個体数を数えて計算してお渡ししていないので、少し多めになっています。 次の水換え時に複数の容器に希釈して、いくつか条件を替えて飼育してみるとよいと思います。 2回目の実験( 2020年は4月の予定)はウニのシーズンの終わり近いため、実験ができるかどうかはわかりません。 採取してきたウニが卵と精子をもっていないこともあり、また持っていたとしても、シーズン終わりだとあまり状態がよくない場合もあります。 ただし、ウニの実験以外にも採取してきた生体の観察や配布も行います。 2回目にご参加予定の場合でも、1回目の生体をご購入いただいておくと完璧です。 2019年は2回目もうまく行きました。 ウニ幼生飼育キット ¥1500 >>通販 *培養フラスコ入り幼生 *2週間分の餌 *2週間後に追加の餌と水替え用シートを郵送します(料金内) もし、飼育途中で全滅してしまった(と思った)場合、ご連絡の上、できるだけ早めにカフェにお持ちください。 全滅しているかを確認の上、だめだったら新たに生体を差し上げます(無料)。 リベンジはきらら舎で配布用に維持している個体がある限りは無料で差し上げます。 【カフェでの実験手順】 参加者の方4名で1テーブル(場合によっては各テーブルにプラス1席、補助席が出ます)となります。 1テーブルに2~3個のウニを渡しますので、有志の方にアリストテレスと呼ばれるウニの口器をはずしていただきます。 体内の水を振り切って、まずはシャーレの上にウニを乗せて0. 5molのKClをスポイトで入れます。 KClによって筋肉が収縮し、メスならば卵、オスならば精子を放出します。 これが黄色であれば速やかに準備しておいた三角フラスコ(海水を満たしてある)に乗せて放卵させます。 ウニ生殖巣は(オス、メスとも)5つあることから、放出される卵は黄色い5本の筋となって落ちていきます。 シャーレに放出されたものが白ければ精子なのでそのままにしておきます。 まずはシャーレに出た分の未授卵をモバイル顕微鏡で観察します。 少し海水で希釈して観察用のスライドグラスに付着させます。 2020年は800倍のモバイル顕微鏡もご用意します。 次に精子を海水で希釈し、爪楊枝でスライドグラスに付着させてモバイル顕微鏡で観察します。 動画撮影もできます。 2020年は800倍のモバイル顕微鏡もご用意します。 次に、シャーレに卵を取り、海水を少し補充します。 そこに、爪楊枝の先に海水で希釈した精子を付けてシャーレの卵に混ぜて受精させます。 受精の様子は動画で撮影すると面白いと思います。 卵に精子が群がり、1つの精子が卵に入った途端にそこ位置から受精膜が上がります。 やがて卵割が始まります。 小中学生への課題 *卵やプルテウスの様子をスケッチしてきてください 2細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、桑実胚、孵化・・・・・ 16細胞期(受精から 約10~12時間後)では小割球・大割球・中割球に分かれていることをよく観察してスケッチしてください。 夏休みにそれをコピーしたものをもってカフェへお越しください。 スケッチした部分に詳細(部位の名称やその後何になるかなど)を書き込みます。 コピーしたものに直に説明を聞きながら書き入れていただくため、必ず現物ではなくコピーしたものをお持ちください。 コピーは到着後、セブンイレブンでもできます。 複数コピーしておくと安心です。 5molのKCl きらら舎の天気管ワークショップで使っている塩化カリウムです。 これをモル計算で0. 5mlの水溶液とします。 計算式が必要な場合はカフェにてお申し出ください(筆記用具をご持参ください)。 【ポケット飼育】 より本格的に飼育するために、250mlの培養フラスコに入れてお渡しします。 実験当日は個体数を計算してお渡しする余裕がないため、濃いめになっていると思いますので、1回目の換水時に複数容器に希釈してください。 この複数容器はあえて条件を変えて飼育してみるのも面白いです。 しかし、少しづつ自然淘汰されるので、3日に1回半量の水交換時に生存数が多ければ容器を分けるようにしてみてください。 水換えは、フラスコの口をプランクトンネットかキムワイプやろ紙で覆い、ゆっくり水を半分ほど捨てます。 そのあと、口に当たっていた部分の位置がずれないようにネットを裏返して再度セットし、上から少しだけ水を注ぎ、ネットについているかもしれないプルテウスを落とします。 その後はネットをはずして抜いた分の水を加えてください。 餌は浮遊珪藻のキートセラスです。 2~3日に1回、スポイトで数滴、飼育容器に入れます。 顕微鏡でプルテウスの胃に茶褐色が確認できれば 食べている証拠です。 4腕プルテウス。 6腕目が少し伸び始めています。 プルテウス幼生になると、容器の外からルーペでも観察ができます。 2019年の第一回目のプルテウス幼生の変態準備 飼育温度(室温)にもよりますが、我が家の生物エリアは南窓に面した温かい場所なので、プルテウスは30~35日で、ほぼ変態間近となりました。 飼育容器の外側からルーペで観察すると、プルテウスのステージがほぼわかります。 4腕、6腕のものでは三角形が細長いのに対して、8腕は丸っこい印象となります。 さらに原基が成長すると(原基が胃と同じサイズになると変態間近です)もっと丸っこくなります。 モバイル顕微鏡で観察すると管足や棘も見えます。 本当は、培養容器の口にキムワイプやプランクトンネットなどを付けて水を捨て、少量の海水に濃しとった幼生を戻すのですが、このネットの選択を誤るとすべて捨ててしまうことになるので、目視で容器内にいる幼生をパスツールピペット(硝子製でスポイトの細いやつ)で吸い取ってシャーレに移すのがよいかと思います。 パスツールピペットを使用するのは海水をたくさん吸わないようにということなので、先が細いスポイトでもかまいません。 3体ほどをモバイル顕微鏡用のフラスコに入れてみました。 本当は大き目なフラスコのほうがよいのですが、変態をそのままモバイル顕微鏡で観察するためのものです。 確実な飼育用にはきっちりフタの閉まる容器をご用意ください。 浅いもののほうが観察がしやすいです。 きらら舎生物部では「100均クリームびん」で行っています。 直径4cmほどの携帯用化粧品を入れる透明な容器。 ネジ式でフタが閉まります。 底ができるだけ平だと、モバイル顕微鏡で、そのまま観察ができます。 ちょうど雌株のよいものが出回っている時期なのでそれの欠片を入れてみました。 ワカメや昆布など諸説ありますが、ヨウドが問題のようです。 甲状腺ホルモンの錠剤をすり潰して投与してみたシャーレもセットしました。 結局、メカブは取り出しが遅れて水質が悪化、錠剤のほうもチロキシン以外の錠剤を整形するための粉などのせいで水質悪化でうまく行きませんでした。 メカブは1時間ほどで取り出すのがいいと思います。 ライブロックやウニの故郷の海藻(ひじき)を入れたものが変態しました。 2020年は変態用のチップも作ってみようと思っています。 タイドリウム シャーレでウニに変態しても、まだまだ小さいのでいきなり水槽に入れると見失ってしまいます。 そこでシャーレを少しづつ大きくしながら飼育をします。 浅いジャム壜などにライブロックを入れて稚ウニをライブロックの上に落とします。 1cmを越えたら底面フィルターの小さな水槽で小さなタイドプールを作って飼育をすると楽しいです。 海水用の藻を植えると雰囲気がでます。 【プルテウスの餌の培養】 キートセラスは2週間ほどしかもちません。 そのため、2週間後に再度餌を郵送します。 しかし自分でキートセラスを培養することもできます。 培養を希望される方はカフェにてご相談ください(きらら舎でも注文できます)。 キートセラスの種株(これは餌としてお渡ししたものでもOKです)、KW21、メタ珪酸ナトリウムをお分けしております。

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ウニとカエル、発生面でのメカニズム、その違いと共通点とは?

ウニ の 発生

発生学(embryology, developmental biology)は、生物学の中でも昔からある学問分野である。 ヒトが生物として、個体の誕生や成長、その他の動物、たとえばカエルの卵がオタマジャクシになって、成体になるような現象を見て、不思議に思ってきたからである。 どうして均一に見えるカエルの卵から、複雑な形態をしたオタマジャクシが泳ぎだし、カエルになるのだろうか。 この誰もが不思議に思う現象を、解き明かそうとするのが発生学である。 発生学は、上にカッコ書きをした英語からわかるように、始めはembryo、すなわち胚(ヒトでは胎児)がどう変化していくかを記述するところから始まった。 それが発生(development)に伴うさまざまな現象を生物学のあらゆる手法で、どうしてそうなるのかを理解していく方向が鮮明になり、英語の名前もそれを反映するようなものに変わった。 したがって、現在の発生学を理解するためには、これまで学習したあらゆる知識が必要である。 たとえば、 遺伝子とその発現機構 タンパク質への翻訳機構 細胞と細胞の接着、組織の構築 いろいろな器官系の構造 体細胞分裂と減数分裂 細胞周期とその調節 転写調節機構 細胞間の情報交換の機構(リガンド、受容体、細胞内のシグナル伝達機構) など、などである。 もう一度見直して知識を確実にしておいて欲しい。 ここでは、少し広い範囲から話を始めよう。 個体の一生は限られたものなので、どこかで必ず次の世代を作って種の存続をはかっている。 すなわち生殖 reproduction)である。 生殖は、個体維持とならんで最も生物らしい活動である。 生物界全体を見渡すと、 無性生殖(asexual reproduction)と 有性生殖(sexual reproduction)が区別できるが、動物界には無性生殖をおこなう種はそれほど多くはない。 動物の無性生殖の例としては、次のようなものが挙げられる。 出芽(budding):ヒドラ 細片分離あるいは断烈(fragmentation):腔腸動物、扁形動物 単為生殖(parthenogenesis):ミツバチ、アリマキ 無性生殖というのは、自分と全く同じ遺伝子を持った個体を新たに作り出すわけで、安定した環境ではどんどん増えていけばいいので好都合だが、環境が変化したときには対応することはできない。 そこで進化の過程で作り出されたのが、遺伝子を混ぜ合わせる有性生殖(sexual reproduction)である。 有性生殖では、雄と雌で作られた生殖細胞、すなわち配偶子(gamate)が融合して、新しい個体が生じる。 配偶子には形・大きさが同じ同型配偶子をつくる生物と、配偶子の大きさに差がある異型配偶子をつくる生物がいる。 雌雄の作る異型配偶子に、形態・分化に大きな差が見られるとき、雌のものを 卵(ovum)、雄のものを 精子(spermatozoon)という。 ふつうは、卵は大きく運動性を欠き、精子は小さく運動性がある。 動物は卵と精子を作る場合がほとんででる。 ちなみに配偶子どうしの融合は、接合と呼んでいる。 融合するのだから、染色体の数は配偶子の倍になる。 そこで、配偶子を作るためには染色体の数を半減させておかなければならない。 そのために、体細胞分裂とは異なる、 減数分裂という、染色体を半減させる特別な分裂様式が導入された。 こうして大型の運動性のない配偶子である卵を作る雌と、運動性のある小型の配偶子である精子を作る雄の区別ができた。 性(sex)とは、一般的には同種の生物に雄と雌の区別があることを言うが、もっとも根源的な意味は、雌雄の染色体の新しい組み合わせを作って、遺伝子を混ぜることにより、新しい組み合わせの遺伝子をもった個体を作ることである。 日常会話では、この混ぜ合わせに必要な多くの現象(形態や行動を含めて)を性と呼ぶことが多い。 有性生殖を行うための器官を生殖器官と言い、配偶子を形成する生殖巣(生殖腺)とそれを体外へ排出するための生殖輸管、さらに生殖輸管に付属する腺などに分けられる。 雄の生殖腺は 精巣(testis、pl. testes)であり、生殖輸管は 輸精管(vas deferens)と呼ぶ。 雌の生殖腺は 卵巣(ovary)、生殖輸管は 輸卵管(oviduct)、 子宮(uterus)である。 生殖輸管の体外への出口を生殖口というが、体内受精を行う動物ではこの部位が交尾器(雄の陰茎など)として発達している。 1)減数分裂 減数分裂の過程は、体細胞分裂と比較しながらすでに1年生で学んだ(参照のこと)。 この時、染色体はすでに複製されていて、対合の結果、父方の2本と母方の2本の合計4本の染色分体が並列し、染色分体の交叉と組み替えがおこる。 その結果、染色分体は混ぜ合わされる。 こうして染色体数が半減した4つの生殖細胞が生じる。 ただし、実際の生殖細胞である精子と卵ができあがる過程は、もうすこし複雑である。 精子と卵ができる過程は、それぞれ精子形成と卵形成と呼んでいる。 以下に、脊椎動物のそれぞれの過程を述べる。 2)精子形成(spermatogenesis) 成熟した精巣の断面を顕微鏡で観察すると、たくさんの丸い管の断面が見える。 これは精細管(seminiferous tubule)で、この管は精巣の中をうねりながら最後は精巣網につながり、さらに精巣上体(epididymis)へとつながる。 精子は精巣上体から輸精管を経て生殖口へ出される。 精細管どうしのあいだは結合組織で満たされ、毛細血管の断面が見え、間細胞(ライディッヒ細胞)と呼ばれる細胞も見られる。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 精細管の断面はいろいろな大きさの細胞が詰まっていて、管腔に近い方には精子が存在する。 精細管には二種類の細胞がある。 1つは生殖細胞で、精子になるべき細胞であり、もう1つはセルトリ細胞で生殖細胞に栄養を補給し、また精子の停泊場となる。 精細管の一番内側からは、管腔に向かってセルトリ細胞が立ち上がるように配列している。 基底膜に近いところには精子形成の出発点となる 精原細胞(spermatogonium)が並んでいる。 精原細胞は絶えず分裂して、精原細胞のストックを作るとともに、次ぎの段階へ移行する精原細胞となって行く。 この過程は血球の発生のところで学習したのと同じ、幹細胞による増殖である。 精原細胞はさらに分裂して 一次精母細胞(primary spermatocyte)になる。 ここまでは体細胞分裂の過程である。 はじめ核も細胞質も小さいが、時間をかけて成熟し、核が大きくなる。 ここから先が減数分裂の過程である。 ここから先は精子に変態する過程である。 精細胞は核も細胞質も小さく、セルトリ細胞の細胞質内に頭を突っ込んでいる。 やがて精細胞は変態を始め、細胞質を失い、 先体(acrosome)とそれに続く核を含む頭部、ミトコンドリアの詰まった中節、尾を備えた 精子(sperm)となる。 この過程で、精子が必要とする機能、すなわち卵へ侵入するための装置、遺伝情報、運動性だけを残し、あとは捨て去ってしまう。 電子顕微鏡による観察によると、次の段階へ移行する運命にある精原細胞は、分裂しても細胞質が完全には分離せず、細胞間橋によりつながっており、このつながりは以後、精細胞になるまで保たれる。 そのため多数の細胞が同調的に分裂して一つながりの精子を作ることになる。 輸卵管も左側のみが発達する。 成熟した卵巣は表面から見てもはっきり分かる多量の卵黄を蓄積した卵胞がブドウの房のように付いている。 卵も精子と同じような過程を経て作られるが、ヒトの場合、胎生期にさかんに生殖細胞は細胞分裂をして、多数の 卵原細胞(oogonia)をつくられる。 卵原細胞は体細胞分裂によって一次卵母細胞となる。 ここからが減数分裂の過程である が、卵の場合は細胞質を均等に分けるようなことはせず、著しく細胞質の少ない極体を放出して、第二次卵母細胞になる。 この時、極体も小さいながら分裂する。 したがって最終的に、1つの卵と3つの極体が作られることになる。 ただし多くの動物で、減数分裂の過程は上に述べたように完全には終わらず、途中で止まっている。 精子が侵入すると、止まっていた減数分裂が再開し、極体を放出して染色体数の半減した卵となる。 出生後は卵原細胞の分裂は停止し、これを一層の卵胞上皮細胞が包む。 これを一次卵胞(原始卵胞)とよぶ。 ヒトの新生児や幼児では卵胞の総数は50万個と言われる。 思春期には約16万個になる。 その後、月経周期あたり1個の卵胞のみが成熟して排卵する。 一生のうちには結局400個足らずの卵が排卵されるのみで、他の大部分は十分成熟せず排卵もされず退化する。 uoguelph. htmlより 成熟した雌の卵巣内には、多数の発達の程度の異なる卵胞(ovarian follicles)が存在する。 一番小さい原始卵胞は生殖腺刺激ホルモン(LH、FSH)の作用によって卵胞上皮細胞が増殖し、やがて、卵胞液を貯留し、グラーフ卵胞となる。 成熟したグラーフ卵胞は、排卵前に起こるLHの一過的な大量分泌(LHサージ)によって、卵細胞を排卵する(ovulation)。 哺乳類では、繁殖期にこの排卵が決まった間隔で、周期的に起こる。 卵の場合は、精子とは異なり、発生の過程に必要な栄養分とエネルギー源を蓄えておく必要がある。 卵黄には 卵黄タンパク質と中性脂肪が多量に蓄えられているが、これらはエストロジェンの作用によって肝臓で作られ、血液中を運ばれて卵巣に達するのである。 哺乳類では胎生の発達により卵黄量は少ないが、鳥類や爬虫類では卵黄量の多い卵を作る。 卵にはこの他、多くの分子があらかじめ用意されている。 精子から持ち込まれた父方の遺伝情報と卵にある母方の遺伝情報が一緒になり、これまで地球上に存在しなかった新しい組み合わせが生まれる。 一方、受精は最初の細胞間の認識でもある。 関連するサイトとリンク(このページへ戻るときはブラウザーの戻るを選んでください) 受精が引き金になって、発生(development)が始まる。 受精卵は 卵割(cleavage)を始め、次第に細胞の数を増やしてゆく。 受精によって発生の過程が始まるとともに、精子は中心体を卵内に持ち込み、分裂装置を作れるようにする。 卵割の様式やその後の発生の様子は動物によって異なる。 この点に関しては、筋肉の発生の前置きとして第2回の講義で説明した(参照のこと)ので、くわしいことはここでは触れない。 関連するサイトとリンク(このページへ戻るときはブラウザーの戻るを選んでください) 1)先体反応 精子は卵に誘引され、卵に近づき受精する。 受精の過程を細かく見ると、先体反応が起こり、先体膜に埋め込まれたタンパク質(ウニの場合はバインディン)と卵細胞膜にある受容体との結合である。 こうして同種の精子と卵が認識しあって、細胞膜が融合し、精子の頭部に納められていた核(正しくは雄性前核)と中心体が卵のなかに送り込まれる。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより ウニの場合は先体反応によって先体突起が飛び出すが、哺乳類の場合は先体反応によって酵素を放出し、これが透明帯を溶かして精子が卵細胞膜へ到達するのを助ける。 精子細胞膜が卵細胞膜と融合できるのは、精子の先端にある卵の受容体に結合できる膜タンパク質のためである。 ウニの場合、このタンパク質はバインディンと呼ばれている(上の動画の青い点)。 バインディングと受容体に種特異異性があるので、別の種の精子による交雑を防ぐことができる。 2)多精拒否機構 一つの卵には一つの精子だけが入り、遅れたものは入ってもらっては困る。 精子が複数卵に入る現象を多精と言うが、こうなると発生は正常には進まない。 そのため、卵には多精拒否機構(rejection of polyspermy)が備わっている。 多精拒否機構には、早い機構と遅い機構の2つがある。 早い多精拒否機構は、精子が融合した後、1ないし3秒以内に完了する機構である。 これはニューロンのところで学習した静止電位に相当する。 精子が融合すると、すぐに+20mVほどに電位が上昇する。 この電位は、活動電位と同じようにナトリウムイオンが関係している。 つまりニューロンのように卵は精子と融合すると活動電位が発生するのである。 この電位によって次に述べる受容体の立体構造が変化して、精子が結合できなくなると考えられている。 遅い多精拒否機構は、受精膜が挙がることによる。 ウニを観察していると、精子が侵入したところから徐々に、受精膜が挙がり、やがて卵全体を包むようになる。 この受精膜は、卵細胞膜のすぐ下に分布していた表層顆粒が細胞膜と融合し、その内容物を卵膜と細胞膜の間に放出することによって作られる。 表層顆粒の内容物は卵膜と卵細胞膜の間に水を引き込み、すきまを押し広げるとともに、裏打ち構造を卵膜に付加して、卵膜を固い受精膜に変えている。 3)卵の賦活(活性化) 父方の遺伝情報を卵に送り込むのが精子の重要な役目であるが、もう一つ重要な役目がある。 それは精子による卵の賦活である。 精子が卵と融合して初めて発生の過程が動き出す。 それはどうしてなのだろうか。 受精のとき、精子の侵入点から卵の表面を伝わって何かが伝播するという考えが以前からあって、これを受精波と呼んでいた。 カルシウムが結合すると光るタンパク質が見つかり、これを卵内にあらかじめ注射をしておいて受精させると、精子の侵入点から光が卵全体に広がっていくことが観察された。 受精波はカルシウム波だったのである。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 精子が侵入してからカルシウム波が卵全体に広がっていくまでに、およそ30秒かかる。 下の図の右側はカルシウム波、左側は受精膜が挙がるところを同時に示してある。 メダカ卵のカルシウム波 QuickTimeが必要) つまり受精によって、卵内のカルシウムイオンが一過的に高まるのである。 現在までの研究で、バインディンが受容体に結合すると、フォスフォリパーゼCが活性化され、イノシトール三リン酸が作られ、これがカルシウム貯蔵部位に作用してカルシウムイオンを放出させることがわかってきた。 ホルモンと受容体の関係によく似ていることに驚くばかりである。 フォスフォリパーゼCが活性化にチロシンキナーゼが関与していることはわかっているが、受容体とチロシンキナーゼとフォスフォリパーゼCの間の関係はよく分かっていない。 次のような機構モデルが考えられている。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより こうして、精子の持ち込んだ中心体から作られた分裂装置を使って、いよいよ卵割が始まるのである。 1)ウニの場合 初期発生は、卵割によって進んでいく。 胞胚から嚢胚になるときに陥入がおこり、一層だった細胞層が二重になり、細胞層の相互作用が可能となる。 陥入を起こした部分を原口と呼び、貫入した部分を原腸という。 原腸の先端は後に口を作り、原口は肛門となる。 陥入に前後して、胞胚内部に細胞群が落ち込む。 これを一次間充織(primary mesenchyme)がいう。 一次間充織は後の骨を作る。 陥入が進み、原腸が胞胚腔の上端(貫入した場所の反対側)に達する頃に、原腸の先端から別の細胞群が胞胚腔に落ち込む。 これを二次間充織(secondary mesenchyme)という。 これらの間充織は中胚葉である。 こうして外側の 外胚葉(ectoderm)、原腸の 内胚葉(endoderm)、間充織の 中胚葉(mesoderm)という、3つの胚葉が分化する。 プルテウスはプランクトン生活を続けたあと、変態してウニの生体となって、着生生活を送るようになる。 ウニの発生についてさらに学びたい人へ 2)カエルの場合 脊椎動物のカエルの卵は端黄卵で、卵割様式は全割であるが、ウニの場合のように等割ではなく、動物極では割球が小さく、植物極では大きい不等割である。 胞胚まではウニの場合とだいたい同じだが、胞胚後期になると、黒色の細胞が増えて、赤道面の下まで広がり、胞胚腔は卵黄の少ない動物局側にかたよった位置に生じる。 やがて植物極側(植物極点ではなく赤道面に寄ったところ)に半月状の切り込みができ、この溝を通って外側の細胞が内部へ侵入していく陥入が始まる。 この溝が原口である。 原口の動物極側(原口背唇)の細胞群は増殖しながら内部へ陥入を続けるとともに、動物極側へも移動し、動物極を覆い、さらに赤道面を越えて植物極側をも覆うようになる。 こうして外側を覆おう細胞群は外胚葉となり、内部に包み込まれた卵黄を含む細胞群は内胚葉となり、侵入した細胞群は中胚葉となる。 中胚葉は、神経管の下側に沿って走る脊索と、脊索の両側の部分に分化し、この部分は背側から順に、体節、腎節、側板に分化する。 両生類の発生についてさらに学びたい人へ ヒトの発生についても学びたい人へ 発生がさらに進むと、各胚葉からはいろいろの器官が分化する。 カエルの場合は、外胚葉からは神経管が分化すると書いたが、神経管は後に脳と脊髄となる。 この他の胚葉がどのような器官に分化するかを書いてみよう。 実際には、各胚葉はそれぞれが置かれた場所によって、いろいろな器官に分化していく。 このような過程を器官形成(organogenesis)と言う。 心臓の形成や腎臓の形成、あるいは四肢の形成など興味深い過程であるが、ここでは省略する。 uoguelph. このように生殖細胞は、連綿として連なっていると考えることができる。 生殖細胞を中心に考えれば、我々の身体は生殖細胞を過去から未来へ受け渡す運び屋に過ぎないとも考えられる。 身体を構成する器官は、すでに述べた三胚葉から分化する。 じつは、三胚葉が分化する前に、これらの細胞群とは別に、将来、生殖細胞になる細胞群が分化する。 そこでこれらの細胞の系譜を生殖細胞系列(germ cell line)と呼び、体細胞系列(somatic cell line)とは区別することがある。 器官形成で述べたさまざまな器官と異なり、生殖腺のできかたはやや特殊である。 生殖腺は中胚葉からできる器官だと5.に述べているが、生殖細胞である精子や卵のもとになる細胞の起源は別なのである。 1)極細胞 ショウジョウバエのような昆虫の仲間の卵割は、表割という形式をとる。 卵細胞質の分裂が起こらないで、核だけが分裂して数を増やしてゆく。 産卵後およそ80分後、核が256個になった頃、核は表面に移動し始める。 さらに産卵後130分、核が512個になる頃には300ほどの核が 卵の表面に並び、後端には細胞質に包まれた細胞群があらわれてくる。 この細胞群は 極細胞(pole cell)と呼ばれ、後に生殖細胞となる。 核の間に仕切りが生じて、一層の細胞層になるのはさらにずっと後の14回目の分裂の時である。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより このように将来、生殖細胞になる細胞は発生の比較的早い時期に、体細胞系列とは別の道をたどり始める。 どうしてこのようなことが起こるのだろうか。 ショウジョウバエ卵の後端の細胞質を調べてみると、極顆粒と呼んでいる明瞭な顆粒が細胞質に存在する。 後端の細胞質は他とは違っているのである(極細胞質)。 この顆粒はミトコンドリア由来のRNAとタンパク質の複合体で、そこにやってきた核に働きかけて将来の運命を左右するらしいことはわかっている。 卵細胞におけるこのような不均質性(あるいは極性とも勾配とも呼べる)が、割球の性質を規定し、後の発生に大きな影響を及ぼす例は両生類においても認められる。 カエルの卵は卵割が進むと、卵黄を多く含む植物極の割球と、少ない動物極の割球に分かれる。 このとき、卵細胞質に存在した極性はそれぞれの割球へと区画化されることになる。 植物極の腹側の特定の割球に、ショウジョバエの時と同じく生殖細胞質が分配され、その細胞はやがて 始原生殖細胞(primordial germ cell)になる。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 2)始原生殖細胞 脊椎動物では、発生が進むと始原生殖細胞が大挙して移動し、やがて中胚葉起源の 生殖隆起(genital ridge)へ落ち着く。 マウスでは、7. 5日目の胚の尿嚢付近に最初に観察され、その後まもなく尿嚢基部および尿嚢に隣接した卵黄嚢内に見いだされる。 細胞集団は後腸を経由して頭側方向へ移動し、背側腸管膜を背側へ移動して、生殖隆起内へ入る。 ほとんどの始原生殖細胞は11日までに生殖隆起へ到着する。 最初は10から100細胞だが、移動しながら増殖し、12日胚の生殖隆起内には2,500から5,000個の始原生殖細胞が存在する。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 鳥類では盤割をするが、頭突起の前方に生殖三日月環と呼ぶ部域が現われ、ここから始原生殖細胞が生じる。 鳥類の始原生殖細胞は、両生類や哺乳類がアメーバ運動で移動するのと異なり、いったん血管内に入り、血流にのって生殖隆起に達し、ここで血管から出て生殖隆起に入る。 3)生殖器原基 このように、脊椎動物では「中身」の生殖細胞と「器」の生殖隆起とでは起源が異なっている。 生殖隆起を構成する体腔上皮細胞が増殖、肥厚し、背方に向かって索状に伸び、そこへ生殖細胞が取り込まれる。 この構造を第一次性索と呼ぶ。 この時点では、雄でも雌でも同じような生殖腺原基をもつ。 やがて雄では性索が網状組織を形成し、その最末端に薄い精巣網(rete testis)を作る。 この生殖細胞が詰まった網状組織が、後に精細管(seminiferous tubule)になる。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 一方雌では、生殖細胞は生殖腺の外表に近いものを残し退化し、性索も退化する。 上皮はやがて伸張し、第二次性索(皮索)を形成する。 皮索はやがて生殖細胞を1個含む細胞塊に分かれる。 これが原始卵胞になる()。 4)雌雄分化 雄になるか雌になるかは、まず染色体の組み合わせによって決まる。 哺乳類では性染色体がXXなら雌となり、XYなら雄になる。 しかしながら、本物の雄になるためにはまだまだたくさんの道のりがある。 すなわち、 生殖輸管の雌雄分化、 外部生殖器の雌雄分化、 脳の雌雄分化である。 これらの過程が狂うと、染色体は男なのに、外見は女になってしまうことがありうる。 まだ未分化の状態では、雄にも雌にもウォルフ管とミューラー管が存在するが、やがて雄ではミューラー管が退化し、ウォルフ管が残り副精巣と輸精管となる。 一方雌ではウォルフ管が退化し、ミューラー管が発達し、輸卵管、子宮、膣の一部となる。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより 遺伝的に雄のウサギの胎児(第19日目)で、ミューラー管もウォルフ管も性的に分化していないときに生殖腺を除去すると、ウォルフ管は退化し輸精管や前立腺は形成されない。 しかし遺伝的に雄でありながら、ミューラー管は残り、輸卵管、子宮ができ、外部生殖器も雌型になる。 遺伝的に雌の場合には生殖腺を除去しても雌型の生殖器官が発達する。 つまり生殖腺がないと遺伝的に雄でも雌でも雌型の生殖器官が発達する(哺乳類の場合)。 胎児の精巣からはウォルフ管を発達させ、ミューラー管の発達を抑制する因子が出ていることを示している。 ミューラー管の発達を抑制する因子は、560個のアミノ酸からなる糖タンパク質である抗ミューラー管ホルモン(AMH)であることが明らかになった。 このホルモンは、セルトリ細胞から分泌される。 一方、ウォルフ管は、精巣のライディッヒ細胞(間細胞)から分泌される、テストステロンによって維持される。 テストステロンがないと、ウォルフ管はアポトーシスを起こして消失してしまう。 やがて、完成した生殖腺からは性ステロイドホルモンが分泌され、外部生殖器がそれぞれ雄のものと雌のものに分化する。 そのため、性染色体がXYで男になるはずであっても、アンドロジェンの受容体がないと下の写真のように外部形態は女のものとなってしまう。 Developmental Biology, 6th ed. したがって、この変換を触媒する酵素が遺伝的に欠損していると、外部生殖器は男のものにはならない。 Developmental Biology, 6th ed. Scott Gilbert Sinauer Associates, Incより それではXYだとどうして雄になるのだろうか。 長い探索の末に、Y染色体にSry(sex-determining region of the Y)と呼ばれる遺伝子が存在することがわかった。 この遺伝子はY染色体の短椀上に存在する。 この遺伝子とプロモータ部位を含む14kbのDNAをマウスに導入した、いわゆるトランスジェニックマウス雌(染色体はXX)で、この遺伝子が発現し、精巣や雄の生殖輸管、外部生殖器が発達することが確認された。 しかしながら、性染色体以外にも性を決定するいくつかの遺伝子が存在するらしく、性の決定のメカニズムが完全には解明されたわけではない。 この章のpdfファイルをダウンロードするには、左のアイコンを右クリックしてください。 ブロードバンド接続の場合で、ワードのファイルを望む人は、「W」のアイコンを右クリックしてください。

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ウニの受精と初期発生

ウニ の 発生

導入 [ ] 生物は、生殖によって増え、発生の過程を経て個体(こたい、indvidual)となる。 生殖とは、生物の個体が新個体を作り出す働きであり、 発生とは、受精卵から成長した個体になるまでの過程である。 このページでは、 生殖の働きや仕組み、 発生の過程や仕組み、 などを扱う。 生殖細胞の形成と受精 [ ] 有性生殖と無性生殖 [ ] 生殖 せいしょく、reproduction とは、生物の個体が新個体を作り出す働きである。 生殖には、親に雄(おす)と雌(めす)がある 有性生殖 ゆうせい せいしょく、sexual reproduction と、親に雄と雌がない 無性生殖 むせい せいしょく、asexual reproduction がある。 有性生殖では、親は、精子や卵のような配偶子 はいぐうし、gamete という生殖細胞を作り、配偶子どうしが合体(接合、Bacterial conjugation)して子となる。 配偶子には、雄と雌の配偶子の形や大きさが同じな 同形配偶子 isogamete と、雄と雌の配偶子の形や大きさが異なる 異形配偶子 anisogamete がある。 同形配偶子はのなどに見られ、異形配偶子はやなどに見られる。 異形配偶子には、大きな 卵細胞 らんさいぼう、egg cell または 卵 らん、egg, ovum と、小さな 精細胞 せいさいぼう、sperm cell または 精子 sperm, spermatozoon がある。 卵は栄養を蓄え、精子は移動できる。 卵と精子が合体することを 受精 じゅせい、fertilization と呼び、合体したものは 受精卵 じゅせいらん、fertilized egg と呼ばれる。 有性生殖では、配偶子が遺伝的に異なるため、子は親と異なる遺伝的性質を持つ。 生殖に雄と雌が必要だが、遺伝的多様性が得られるため、環境の変化に対応できる可能性がある。 無性生殖では、親は生殖細胞を作らずに、子を増やしていく。 無性生殖には、分裂、出芽、栄養生殖、胞子生殖などがある。 分裂 fission とは、親の体が分裂して子となる生殖の方法であり、単細胞生物のやなどが行うほか、多細胞生物のやなども行う。 出芽 budding とは、親の体の一部が子の体となり成長する生殖の方法であり、ややなどが行う。 栄養生殖 vegetative reproduction とは、植物にみられる、親の根や茎などの栄養器官 vegetative organ が子となる生殖の方法であり、ややなどが行う。 胞子生殖 spore reproduction、sporulation とは、親の体に胞子 spore という細胞を作り、それが発芽し germinate て子となる生殖の方法であり、などのが行う。 無性生殖では、子は親と全く同じ遺伝的性質をもち、クローン clone と呼ばれる。 生殖に雄と雌が出会う必要がないため効率がいいが、遺伝的多様性が得られないため、環境の変化に対応できず絶滅する可能性もある。 また、のように、有性生殖と無性生殖の両方を行う生物もいる。 接合生殖の様子 また、は、無性生殖の分裂と、有性生殖の接合を行う。 有性生殖の目的は、環境に適応しやすくなることと、新しい核を作ることで分裂によって劣化した細胞をリセットすることである。 生殖細胞のでき方と染色体の組み合わせ [ ] 細胞分裂の際、細胞の核内で観察される、DNAが折りたたまれて凝縮されて棒状になったものを、 染色体 chromosome と呼ぶ。 DNA デオキシリボ核酸、deoxyribonucleic acid とは、 アデニン・チミン・シトシン・グアニン adenine, thymine, cytosine, guanine の4種類の 塩基 base と呼ばれるものを含む、二重らせん構造の物質である。 この塩基の並び方で決定される情報を 遺伝子 gene と呼ぶ。 この遺伝子の情報が、生物の形や性質を決めている。 ヒトの細胞は同形同大のペアが23組、あわせて46本の染色体をもつ。 ただし、ヒトの精子と卵は、23組のペアのうち1本ずつ23本の染色体を持っている。 受精卵になると精子と卵の染色体をあわせて46本の染色体となる。 ある細胞で、ある遺伝子を決める染色体が、父に由来する染色体と母に由来する染色体の両方をもつ場合を 複相(ふくそう)といい表記「2n」で表し、体細胞が例である。 生殖細胞などのように、ある遺伝子の染色体が父母のどちらか片方のみに由来している場合を 単相(たんそう)といい、表記「n」で表す。 複相とか単相とかのことを 核相という。 核相は染色体の本数では決まらず、DNA量でも決まらず、ある遺伝子の染色体の種類が父母の両方由来なら2nであり父母の片方由来ならnと決まる。 よって、体細胞分裂時の細胞質分裂の直前にDNA合成によってDNA量が倍化していても、核相は2nのままである。 減数分裂 meiosis とは生殖細胞でみられる染色体数が半減する分裂である。 減数分裂は第一分裂 Meiosis I と第二分裂 Meiosis II の2回の分裂が連続して起こる。 減数分裂 DNA量の変化 減数分裂において、DNA量の変化の時期と核相の変化の時期は異なり、一致しないので、注意。 また、顕微鏡などでの見かけの染色体の本数と、DNA量にもとづく染色体の本数とが、減数分裂では一致しない。 DNA量にもとづく染色体数を数えるとき、染色分体(せんしょくぶんたい)という。 間期 染色体が複製される。 よってDNA量は2倍になる。 核相は2nのままである。 なぜなら染色体の本数が複製で増えても、染色体の種類の数は何も変わらないので、間期が終わっても核相は2nのままである。 第一分裂前期 染色体が凝縮し、相同染色体が対合(たいごう)し、 二価染色体 にかせんしょくたい、bivalent chromosome となる。 核相は2nのままである。 二価染色体の説明で「4n個の染色分体」ともいうが、核相は2nのままであるので混同しないように。 第一分裂中期 前期~中期に紡錘体が形成され、中期には二価染色体が赤道面(せきどうめん、equatrial plane)に並ぶ。 核相は2nのままである。 第一分裂後期 二価染色体が対合面で分離し、分離して出来た相同染色体は両極へと移動する。 このように核分裂し、それぞれの核の染色体の数は母細胞の半分になる。 DNA量は生殖母細胞と同じ。 核相は n になる。 第一分裂終期 染色体が崩れ、核膜が形成され、細胞質分裂が起こる。 この結果、核相 n の細胞が2個できる。 第二分裂 体細胞分裂と、ほぼ同様に分裂する。 染色体の数は第一分裂の終期のまま複製されないので、最終的にDNA量は生殖母細胞の半分になる。 核相は、第二分裂の間は前期から終期まで 核相=n のままである。 第二分裂前期 染色体の数は第一分裂の終期のまま複製されない。 第二分裂中期 核膜は消失し、紡錘体・紡錘糸が形成され、染色体が赤道面に並ぶ。 第二分裂後期 染色分体が両極へと移動する。 第二分裂終期 染色体が両極に到達して、紡錘糸は消失し、染色体が糸状になり、核膜ができ、細胞質分裂が起きる。 よって、最終的に4個の生殖細胞ができる。 それぞれの細胞のDNA量は生殖母細胞の半分である。 核相はnである。 減数分裂の図式 減数分裂で二価染色体ができているとき、ある確率で、4本の染色分体のうちの、相同染色体の2本が組み換わることがある。 これを 組換え(くみかえ)または 乗換え(のりかえ)という。 ) DNAの塩基配列が少し異なっていて、異なった遺伝子の情報となることがある。 この違いが、個人の違いとなる。 また、性の決定に関与する染色体を 性染色体 sex-chromosome と呼ぶ。 ヒトの男女の違いは、X染色体とY染色体を1つずつ持っていれば男性で、X染色体を2本持っていれば女性となる。 つまり、X染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば女性に、Y染色体をもつ精子とX染色体をもつ卵が受精すれば男性になる。 ヒトの場合、男性ホルモンや女性ホルモンなど性ホルモンを異性の人体に投与しても、ヒトの性別は変わらない。 ヒトの性を決定するのは、遺伝子の性染色体である。 兄弟姉妹の違いが生まれるのは、この染色体の組み合わせの多さによる。 また、 組み換え Recombination とよばれる染色体の部分的交換により、その組み合わせはさらに増える。 動物の生殖 [ ] 動物の生殖では、水中の動物の多くは、母体外で受精を行い(体外受精)、陸上の動物の多くは、交尾により母体内で受精を行う(体内受精)。 この節ではヒトの生殖細胞を中心に扱う。 発生(development)の初期に存在している生殖細胞のもとになる細胞を 始原生殖細胞 しげんせいしょくさいぼう、primordial germ cell と呼ぶ。 始原生殖細胞の核相は2nである。 精子の構造 細胞核からなる頭部(青)、ミトコンドリアを含みエネルギーを生成する中片部、推進運動を行う尾部からなる。 男性では、始原生殖細胞が受精後3週目に出現し、その後体細胞分裂で増殖し 精原細胞 せいげんさいぼう、spermatogonium となる。 精原細胞の核相は2nである。 青年期以降、体細胞分裂を繰り返して増殖し精原細胞から 一次精母細胞 primary spermatocyte となり、減数分裂の第一分裂で2個の 二次精母細胞 secondary spermatocyte となり、減数分裂の第二分裂で4個の 精細胞となる。 精細胞の核相はnである。 その後、精細胞が変形して 精子となる。 精子は、 頭部 head 、 中片 mid piece 、 尾部 tail で構成される。 頭部は、核 nucleus とそれを覆う 先体 せんたい、acrosome からなる。 中片はミトコンドリア mitochondria と中心粒 centriole からなる。 尾部は べん毛 flagellum からなる。 ミトコンドリアは、ATPの反応によって鞭毛をうごかすことで、精子を動かすためのエネルギー源を供給する。 ウニの細胞における先体反応 ウニ(urchin)の卵を例に説明する。 卵の表面には細胞膜があり、さらに外側には細胞膜ごと卵をつつむようにゼリー状の透明な層があり、ゼリー層(jelly coat)という。 ゼリー層の下に 卵黄膜(らんおうまく、vitelline membrane)がある。 精子がゼリー層に到着すると、精子の先体に変化が起きる、これを 先体反応(せんたいはんのう、acrosome reaction)という。 まず先体から加水分解酵素が放出されゼリー層を溶かす。 精子頭部の先体が変形し、先体から糸状の突起が出る。 この突起のことを、 先体突起 せんたいとっき といい、アクチンフィラメントの束が先体突起の中身である。 この働きは、ゼリー層にふくまれる物質の働きによる。 このような、先体の一連の反応を 先体反応という。 そして精子はゼリー層を貫通する。 先体突起の表面には バインディンというタンパク質があり、ウニ卵の細胞膜にはバインディンと結合する受容体がある。 バインディンと受容体が結合して、精細胞と卵細胞が融合し、受精する。 1つの精子が卵に受精したとき、卵のカルシウムイオン濃度が上昇し、このイオン濃度変化によって卵の細胞膜下にある 表層粒が内容物を細胞膜と卵黄膜の間に放出する。 これを 表層反応という。 この表層反応によって、卵黄膜が硬化し、精子の侵入点を中心に卵の表面の性質が変化していき、卵黄膜が変化し 受精膜 fertilization membrane となって、受精膜が持ち上がり、受精膜が卵の表面全体に広がり、これによって他の精子の侵入を妨げる。 また、卵は受精膜で保護される。 このため、精子は、1個の卵にふつう1個しか受精しない( 多精拒否、たせいきょひ)。 受精して卵の中に入った精子は、頭部が 精核 sperm nucleus となって 卵核 egg nucleus と合体して、核相は2nとなり、受精が完了する。 被子植物の生殖 [ ] 被子植物の花のつくり。 この節では被子植物の生殖細胞を中心に扱う。 花は植物の生殖器官である。 花には、中央に雌ずい しずい、pistil があり、その周りに雄ずい ゆうずい、stamen がある。 雌ずいの膨らんでいるところは子房 しぼう、ovary と呼ばれ、その中のつぶつぶを胚珠 はいしゅ、ovule と呼ぶ。 雄ずいの先端には花粉 かふん、pollen を含むやく anther がある。 被子植物の配偶子形成 胚珠の中に 卵細胞と呼ばれる細胞が、花粉の中に 精細胞(sperm cell)と呼ばれる細胞がそれぞれ形成される。 花がつぼみの頃、やくの中で、花粉母細胞 pollen-mother cell (核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、 花粉四分子 かふん しぶんし という4個の細胞になる。 花が咲く頃、花粉四分子は、体細胞分裂を行い、大きな 花粉管細胞 (核相:n)と小さな 雄原細胞 generative cell (核相:n)からなる花粉になる。 雌ずいの先に雄ずいの花粉が付くことを 受粉 じゅふん、pollination と呼ぶ。 受粉すると、花粉から 花粉管 かふんかん、pollen tube と呼ばれる管が伸びて、胚珠の 珠孔 しゅこう、micropyle に到達する。 雄原細胞が花粉管の中を移動し、分裂して2個の 精細胞 n と呼ばれる細胞になる。 胚珠(はいしゅ)では、 胚のう母細胞 はいのうぼさいぼう、embryo-sac mother cell (核相:2n)と呼ばれる細胞が、減数分裂を行い、生じた4個の細胞のうち、1個が 胚のう細胞 embryo-sac cell (n)と呼ばれる細胞になり、残りの3個の細胞は退化して消滅する。 胚のう細胞は、3回の核分裂を行った後、細胞質分裂を行って、7個の細胞と8個の核からなる 胚のう はいのう、embryo sac になる。 胚のうは、珠孔側に1個の 卵細胞(らんさいぼう)(n)と2個の 助細胞 じょさいぼう、synergid (n)、反対側に3個の 反足細胞 はんそくさいぼう、antipodal cell (n)、中央に2個の 極核 きょくかく、polar nucleus (n)を含む 中央細胞 ちゅうおうさいぼう、central cell から構成される。 重複受精(じゅうふく じゅせい) 被子植物の場合の仕組みである。 まず、花粉管内では雄原細胞が分裂して2個の 精細胞 n となっている。 2つの受精が起こるのでこれを 重複受精 じゅうふくじゅせい、double fertilization と呼び、被子植物のみに見られる仕組みである。 花粉管の誘引 (参考) 受粉時の花粉管の 胚のう への誘引は、胚のうにある助細胞が花粉管を誘引する物質を出していることが、日本の東山哲也らの研究(レーザーで助細胞を破壊するなどの実験)によって分かっている。 トレニアという植物で実験された。 トレニアでは胚のうが珠皮から出ているので観察しやすいためである。 1つの 胚のう では、助細胞は2個ある。 実験結果では、助細胞を2個とも破壊すると、花粉管が、まったく誘引されなくなる。 助細胞以外の、卵細胞や極核などを破壊しても、花粉管は誘引される。 助細胞を1個だけ破壊すると、花粉管の誘引の確率が下がる。 そして、花粉管を誘引している物質は、あるタンパク質であることが分かっており、 ルアーと名づけられた。 魚釣りの疑似餌(ぎじえ)の「ルアー」が名前の由来である。 このタンパク質が、助細胞で発現している。 裸子植物の受精 1. 胞子体 精細胞の形成:2. やく、5. 花粉母細胞、7. 花粉四分子、9. 花粉 卵の形成:3. 胚珠、4. 子房、6. 背のう母細胞、8. 背のう細胞と極体、10. 背のう 受精後:11. 種子、12. 胚乳、13. 成熟した種子 発生とその仕組み [ ] 発生と分化 [ ] 受精卵(embryo)から成長した個体になるまでの過程を 発生 embryogenesis と呼ぶ。 例えば、ニワトリの雌は1日に1個程度の卵を産む。 交尾をしないでも卵は産まれるが、孵化(ふか)しない。 交尾をしないで受精しないで産まれた卵を無精卵と呼び、交尾をして受精して産まれた卵を有精卵と呼ぶ。 血管や心臓が発生の初期に形成されるのは、卵黄(らんおう、yolk)にある栄養を血管や心臓で取り入れるためである。 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するため、それぞれの細胞は受精卵の遺伝子を全てそのまま受け継ぐ。 発生の過程で、それぞれの細胞は遺伝子の異なる部分を使うことで、それぞれ異なる細胞になっていき、これを 分化 differentiation と呼ぶ。 つまり、個体の全ての細胞は同じ遺伝子をもつが、使う遺伝子の組み合わせで異なる細胞になっていく。 動物の発生 [ ] 卵の種類と卵割の種類 [ ] 卵割の様式 受精卵は体細胞分裂を繰り返して成長するが、その体細胞分裂を 卵割 らんかつ、cleavage と呼ぶ。 卵割で生じた細胞を 割球 かっきゅう、blastomere と呼ぶ。 卵の極体を生じた側を 動物極 どうぶつきょく、animal pole と呼び、 その反対側を 植物極 しょくぶつきょく、vegetal pole と呼ぶ。 卵は栄養のある卵黄(らんおう、yolk)を含み、 卵黄は卵の種類によって量や分布が異なっており、 卵はその量や分布により 等黄卵(とうおうらん,isolecithal egg)、 端黄卵(たんおうらん、telolecithal egg)、 心黄卵(しんおうらん,centrolecithal egg)に分けられる。 等黄卵 isolecithal egg は、卵黄が少なく卵内にほぼ均一に分布しており、やなどが等黄卵である。 端黄卵 telolecithal egg は、卵黄が植物極に偏って分布しており、などが端黄卵である。 卵割には、卵全体が分裂する 全割 holoblastic cleavage と、卵の一部分が分裂する 部分割 meroblastic cleavage がある。 全割には割球の大きさがほぼ等しい 等割 equal cleavage と割球の大きさが等しくない 不等割 unequal cleavage があり、 部分割には動物極側にある胚盤の部分だけで行われる 盤割 と表面の細胞層だけで行われる 表割 superficial cleavage がある。 ~8細胞期 等割を行う。 16細胞期~ 不等割を行う。 桑実胚期 割球が桑の実のように塊状になった胚を 桑実胚 そうじつはい、morula と呼ぶ。 胚の内部に 卵割腔(らんかつこう)という空所が生じる。 胞胚期 卵割が終わってから原腸形成が開始されるまでの時期の胚を 胞胚 ほうはい、blastula と呼ぶ。 卵割腔は大きくなり胞胚腔 blastocoel になる。 胚の表面に繊毛(せんもう)を生じる。 原腸胚期 胞胚の次の胚を 原腸胚 げんちょう、gastrula と呼ぶ。 胚の植物極側の 原口 げんこう、blastopore と呼ばれる部分から、細胞が内側に向かってくぼみはじめ、これを 陥入 invagination と呼ぶ。 原口は、将来は肛門になる。 原口の将来は、口ではないので注意。 陥入によって胚の内部に 原腸 げんちょう、archenteron と呼ばれるくぼみができる。 胚は、外表面の 外胚葉 がいはいよう、ectoderm 、内側の 内胚葉 endoderm 、その中間の 中胚葉 mesoderm から構成される。 プリズム形幼生 プリズム形をしているためプリズム形幼生と呼ばれる。 原腸が消化管へと分化し、原腸の先端から口もできる。 発生での校門と口の順序は、まず肛門が先にできてから、あとから口ができることになる。 プルテウス幼生 腕が生えて増えていく。 成体 変態してウニになる。 口を下に、肛門を上にして生活している。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 その後、外胚葉は表皮や神経などになり、中胚葉は筋肉や骨片などになり、内胚葉は腸などになる。 参考画像(ウニに限らず)• カエルの発生. 原腸胚から神経胚まで カエル frog の受精では、精子は動物極側から侵入する。 精子が卵に侵入した位置の反対側には、灰色の部分が三日月になっている箇所が生じる。 これを 灰色三日月(はいいろ みかづき)という。 発生が進むと灰色三日月の位置に 原口(げんこう)が生じる。 カエルの卵は、卵黄が植物極側に片寄った端黄卵である。 ~4細胞期 等割を行う。 8細胞期~ 不等割を行う。 動物極の割球が小さい。 桑実胚期 動物極側に 卵割腔という空所が生じる。 胞胚期 胞胚腔(ほうはいこう)が、動物極側に偏った位置にできる。 原腸胚期 灰色三日月のあった所に、半月上の溝ができ、原口となる。 この原口が陥入して、動物極の方に陥入し、原腸ができる。 発生が進むに連れて原腸が拡大する。 原口の上側の位置を 原口背唇(げんこうはいしん)といい、主にこの部分が陥入していく。 外胚葉・内胚葉・中胚葉が、それぞれできる。 原口は陥入が進むにつれて弓形から円形へと変わり、表面から見ると円形の 卵黄栓(らんおうせん)ができる。 神経胚期 外胚葉の背側に生じる肥厚を 神経板 しんけいばん、neural plate と呼ぶ。 神経板はやがて管状になり、これを 神経管 しんけいかん、neural tube と呼ぶ。 神経管は将来、脳や脊髄になる。 神経板ができてから神経管ができるまでの胚を 神経胚 しんけいはい、neurula と呼ぶ。 尾芽胚 尾ができはじめた胚を 尾芽胚 びがはい、tail bud と呼ぶ。 おたまじゃくし 幼生 独立し食物をとる。 原腸胚のころになると、胚葉は、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化する。 神経胚のころになると、外肺葉は表面を覆う表皮 epidermis と管状体の神経管に分化し、中胚葉は支持器官の脊索 notochord と 体節 somite と 腎節 nephrotome と 側板 abdominal plate に分化し、内胚葉は管状の腸管 enteron に分化する。 その後、外胚葉性の器官では、表皮は皮膚の表皮、眼の水晶体や角膜、口や鼻の上皮に分化し、神経管は脳や脊髄、眼の眼胞や網膜に分化する。 中胚葉性の器官では、脊索は退化し、体節は脊椎骨・骨格・骨格筋、皮膚の真皮に分化し、腎節は腎臓や輸尿管に分化し、側板は心臓などの内臓、血管の結合組織や筋組織に分化する。 内胚葉性の器官では、腸管は前部が気管・肺、食道、胃、肝臓、膵臓に分化し、中・後部が小腸、大腸、膀胱に分化する。 植物の発生 [ ] 被子植物(ナズナ)の胚の発生 胚珠内で、受精卵は発生をはじめ、珠孔と反対側の細胞は胚球 や胚柄 となり、珠孔側の細胞は吸器細胞 となる。 胚球は 子葉 cotyledon ・幼芽 plumule ・胚軸 hypocotyl ・幼根 radicle からなる 胚 embryo となり、胚柄は退化する。 中央細胞は養分を蓄えた胚乳 endosperm となる。 胚乳の養分はデンプンなどである。 珠皮は種皮 seed coat となる。 助細胞や反足細胞は退化する。 胚珠は 種子 seed と呼ばれるようになる。 種子には有胚乳種子(ゆうはいにゅうしゅし)と無胚乳種子(むはいにゅうしゅし)がある。 有胚乳種子 Albuminous seed にはイネやムギ・トウモロコシがあり、胚乳が発達し、発芽に必要な養分が胚乳に蓄えられる種子で、やの植物の種子が有胚乳種子である。 無胚乳種子 exalbuminous seed にはナズナやマメやクリがあり、種子の成熟時に胚乳の養分を子葉が吸収するため胚乳は発達せず、養分が子葉に蓄えられる種子で、やの植物の種子が無胚乳種子である。 種子が芽を出すことを発芽 はつが、Germination と呼ぶ。 適切な水分・温度・空気などが、そろうと、発芽する。 発芽した種子では、有胚乳種子は胚乳の養分を、無胚乳種子は子葉の養分を、というように蓄えた栄養を使って成長する。 やがて葉ができると、自分で光合成して栄養を作るようになる。 コケ植物・シダ植物の生殖 [ ] スギゴケの生活環 コケ植物・シダ植物で、胞子生殖は無性生殖である。 コケ植物・シダ植物では、 胞子体(ほうしたい)をつくって無性生殖をする世代と、 配偶体(はいぐうたい)という卵と精子をつくって有性生殖をする世代とを、交互に繰り返す。 このような異なる生殖方法の交代の繰り返しのことを 世代交代(せだい こうたい)という。 世代交代の様子を図などで環状に表したものを 生活環(せいかつかん)という。 普通、胞子体は核相が2nであり、配偶体の核相はnである。 なので、世代交代での胞子体と配偶体との交代にともなって、核相も交代することになり、このような核相の交代を 核相交代(かくそう こうたい)という。 スギゴケなどのコケ植物で、通常に目にする植物体は、配偶体(核相n)である。 コケ植物の配偶体には雄と雌との区別があり、それぞれ雄株(おかぶ)あるいは雌株(めかぶ)という。 胞子が成長して雄株または雌株になるわけだから、つまり胞子には雄雌の区別があり、雄株になる胞子と、雌株になる胞子との区別がある。 胞子をつくる胞子体の胞子嚢(ほうしのう)の中で減数分裂をして、胞子(核相:n)がつくられる。 発生の仕組み [ ] 発生の仕組み [ ] 17~18世紀頃には、精子や卵の中に、成体を縮小した形態(ホムンクルス, homunculus)があり、それが発生とともに展開するという考えである 前成説 preformation theory が有力な学説であった。 それに対して、精子や卵の中に、成体を縮小した形態は含まれておらず、発生の過程で、しだいに単純な状態から複雑な状態へと成体の構造が生じてくるという考えを 後成説 epigenesis と呼ぶ。 ドイツののニワトリの発生の研究などにより後成説の正しさが次第に認められていった。 クシクラゲ(モザイク卵)の分割実験 割球を分離しても完全な胚になる卵を 調節卵 regulation egg と呼び、2細胞期の・・などの卵が調節卵である。 それに対して、割球を(ヒモで強く縛る等して)分離すると不完全な胚になる卵を モザイク卵 mosaic egg と呼び、などの卵がモザイク卵である。 ただし調節卵であっても、ある程度発生が進むとモザイク卵となる。 つまり、調節卵とモザイク卵の違いは、卵の各部分の発生運命がいつ決まるかの違いである。 実験には、ドイツののカエルを用いた実験、ドイツののウニを用いた実験、ドイツののイモリを用いた実験などがある。 (後述) なお、モザイク卵を得るために割球を縛る実験では、割球は強く縛らなければならない。 縛り方が弱いと、実験は失敗する。 シュペーマンの実験 - イモリ胚の分割実験(1902年) イモリの胚の分割実験。 2細胞期、または、その直前の卵で行う。 イモリ胚をきつくしばる分割実験では、実験結果から灰色三日月をふくんだ部分のみが正常な幼生になることが分かった。 次のような実験結果になった。 灰色三日月を二等分するように強くしばると、2個の胚とも正常に発生する。 いっぽう、灰色三日月が片側の胚のみにあるように強くしばると、灰色三日月がある側の胚しか発生しない。 このことから、灰色三日月は、正常な幼生になるのに必要な物質をふくんでいることが分かる。 イモリ胚の分割実験では、強くしばった場合、2個の個体になる。 なお、弱くしばると、頭が2つある1個の個体になる。 この灰色三日月の部位には、背を発生させるのに必要な因子があることが、他の実験から分かっている。 予定運命 [ ]• フォークトの実験 局所生体染色法 シュペーマンの実験。 イモリ原腸胚の移植実験 シュペーマンは、スジイモリとクシイモリの初期原腸胚で、予定神経域と予定原腸域とを交換移植してどうなるかを実験した。 実験結果は、移植先の予定運命にしたがって分化した。 予定表皮域の移植片を予定神経域に移植した場合。 予定神経域の移植片を予定表皮域に移植した場合。 しかし、神経胚のときに移植した場合は、結果が違った。 移植片それぞれの予定運命どおりに分化した。 予定表皮域の移植片を予定神経域に移植した場合。 予定神経域の移植片を予定表皮域に移植した場合。 シュペーマンとマンゴルドの実験。 原口背唇部の移植実験。 模式図。 ドイツのは、イモリの胚の交換移植実験を行った。 原腸胚初期の原口の上部 原口背唇 を切り出し、同じく原腸胚初期の他の胚の外胚葉の表皮になる予定の部分へ移植した。 すると頭が2つある幼生ができた。 シュペーマンは、これを移植した細胞が周りの細胞に頭部になるよう情報を伝えたと考えた。 原口背唇のように、胚のほかの部分に働きかけ、分化を起こさせる部分を 形成体 けいせいたい)、あるいは オーガナイザー(organizer)と呼び、その働き(分化を起こさせる働き)を 誘導 ゆうどう、induction と呼ぶ。 この実験結果から、原口背唇は近くの外胚葉に働きかけて、神経管を作る働きがあることが分かる。 現代では、移植した細胞からタンパク質が分泌され、これが誘導を行っていることがわかっている。 ニューコープの実験。 中胚葉誘導。 再生 [ ] 体の一部が失われた場合、その部分が再び作り出されることを 再生 さいせい、regeneration と呼ぶ。 例えば、は体を切り刻まれても、切り刻まれた部分が元の体に戻る。 プラナリアを切断すると、切断面に未分化の細胞が集まって再生芽という細胞群ができる。 この再生芽が増殖し、頭部側のものは尾部へ、尾部側のものは頭部へ分化していく。 このとき頭部と尾部の方向は切断する前と同じになる。 また、は、手足や尾の一部が失われても、元に戻る。 イモリの手や足を切断すると、切断面の細胞が脱分化して再生芽ができる。 また、イモリの眼の水晶体を除去しても、虹彩の背側の色素細胞から水晶体が再生したりもする。 ヒトも傷や骨折が治るので、ある程度再生する能力を持っているといえる。 近年では、心不全の治療のために、筋肉組織から筋肉細胞を取り出し、培養し、シート状にして心臓に張り付けるなどの 再生医療 の研究も進んでいる。 アポトーシス [ ] 発生などの段階で、ある細胞では、遺伝的にあらかじめ死ぬようにプログラムされている細胞がある。 たとえば哺乳類や鳥類の胚では指と指の間に 水かき が始めのころにあるが、この水かきの所の細胞は死んで組織が退化していく。 このような、あらかじめ死ぬようにプログラムされた細胞死を プログラム細胞死という。 ヒトの手足の指の間の部分も、発生時に水かきのようなものがプログラム細胞死をしている。 カエルの幼生(オタマジャクシ)が変態で尾がなくなるのもプログラム細胞死である。 正常な発生のためにプログラム細胞死は必要なことである。 プログラム細胞死の多くは、まず細胞膜および細胞小器官は正常なまま染色体・DNAだけが凝縮し、それによって細胞膜が変化するなどして細胞が断片化して壊れて死んでいく。 このような細胞死を アポトーシス apoptosis という。 ヒトやニワトリの手足の指の間の部分の発生時に水かきのプログラム細胞死も、アポトーシスである。 オタマジャクシの尾がカエルへの変態で無くなるプログラム細胞死もアポトーシスである。 なお、いっぽう、傷や栄養不足や病原菌などによって細胞が壊されるなどして死んでいくことを 壊死(えし)または ネクローシス(necrosis) という。 深入りの必要は無い。 大学で生物系に進学する場合、基礎知識として必要になる。 もし教科書に書いてあったとしても、コラムなどだろう。 発展: クローン動物 [ ]• 発展: 幹細胞 [ ]• ガードンの核移植実験• ES細胞(胚性幹細胞)• 脚注 [ ]• 吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、pp. 34-35• 吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p. 59 参考文献 [ ]• 田中隆荘ほか『高等学校生物I』第一学習社、2004年2月10日発行、pp. 66-109•

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