鬼を欺く男。 鬼を欺く男 : 作品情報

鬼(おに)とは

鬼を欺く男

静寂が周りを支配する。 明らかに気配が変わる。 その男の降臨により。 曰く神域の男。 曰く闇に降り立った天才。 曰く神すら欺く男。 ・・この男を形容する言葉は枚挙に暇がない。 ダービーの目が鋭く尖る。 先程までの、どこか人を喰った様な嘲笑は既に無い。 明らかに同格以上と認めた目。 「ア、アカギさん、よくぞこの魔界まで・・」 自我の崩壊したはずの本部 以蔵が慌てて出迎える。 バカは回復が早いのだ。 それに本部はこの早熟の天才を、自分の心の師と仰いでいる。 無論アカギは大迷惑だ。 「クク・・。 ここで面白いギャンブルが出来ると聞いて来たんだが・・どうやら期待はずれだったらしい」 アカギはダービーを睥睨する。 ダービーの目から初めて余裕が消え、憎悪すら含んだ強い眼差しに変わる。 「あなたの事は良く噂を聞いています・・。 で、何が期待はずれと?」 アカギはタバコを吸って応える。 「アンタは凡夫だ・・。 ククク。 話にならねえ程な。 どうした、勝負の最中だぜ、コールだ・・」 今、まだロビンとダービーのポーカー勝負中である。 ロビンが負ければ、彼女はダービーのコレクションとして 永久にダービーの書斎の棚を飾る、魂のコインとされてしまう。 そしてロビンが勝てば、この階を突破して、 最上階へとパーティは進出できる。 いわば七珍の塔最後の正念場である。 だが、現況は圧倒的にロビン不利。 チップはダービー10枚に対してロビンは2枚、しかもこのコールが失敗すれば敗北は決定する。 「な、何を軽々しく言ってるんだアカギ、これに負ければロビンは・・」 烈が珍しく真面目に叫ぶ。 だがアカギは冷笑を浮かべ取り合わない。 ゆっくりとタバコの煙を吐き出し、そして言う。 「ジリ貧の発想だな。 痩せた考え・・。 こうまで偏った流れを変えるには、地獄を潜らないとな・・」 ロビンが微笑む。 「そうね。 ここで勝負を逃げても、次で終わるわね。 コールよ、ギャンブラーさん」 「アカギ。 分かっているのか、もしロビンが負ければ・・」 烈がアカギに詰め寄る。 「ククク。 他人がどうなろうと俺には関係ねえな」 アカギの胸倉を掴む烈。 だがしかし。 心なしか、ダービーが舌打ちをした気がする。 チッ、と。 無論表情は変わらない。 しかし明らかに、今まで何度かの勝負とは違う気配がダービーを包む。 ・・勝負が再開される。 お互いにカードチェンジを済ます。 残るはカードを開くだけ。 額に汗が浮かぶロビンとダービー。 緊張感が辺りを包む。 烈・桃・本部の3バカも、飛影も陸奥 九十九も一言も発しない。 ただ一人、アカギだけが変わらぬ冷笑を浮かべている。 ロビンとダービー。 静かにカードを開く。 ロビンは4と7のツーペア。 そしてダービーの手。 ・・ブタ。 なんの手役にもなっていない。 ウオオ、と歓声を上げる本部。 ほっと胸を撫で下ろすニコ・ロビン。 ダービーは震えている。 屈辱に。 「ククク・・。 一目見て分かったよ。 アンタは、自分の勝てる勝負しか出来ない凡夫・・」 アカギの言葉に、殺気すら帯びるダービーの視線。 だがそれを軽く受け流し、アカギは続ける。 「アンタは本当のギャンブルをした事が無いんだろ? 所詮、ガキの火遊びで満足する凡夫・・」 ダービーは猛る。 だが内心の怒りを必死に隠して、勤めて冷静にアカギに言う。 「面白いですね・・。 彼女との対戦は止めましょう。 私と勝負出来るのは、アナタだけの様だ」 「いいぜ。 だがただのポーカーじゃ面白くない。 ひとつふたつ、特別なルールを決めようか・・」 一方、人間界。 地上最強の生物・範馬 勇次郎が、仙人・朧の死体を見下ろしている。 勇次郎は動かない。 いや、動けない。 朧の言った最後の言葉が、彼の動きを止めている。 鬼神の様な顔の勇次郎。 あなたは最強を気取っていても、自分が勝てないであろう相手には、決して相手が万全な時には 闘おうとしない・・。 私とも、志々雄とも、魔界3強とも・・。 そして当然、大魔王バーンとも ケッ。 確かにまだ俺はバーンのじじいには届かねえ。 だがこの世界に来てから、俺は更に強くなっている。 いずれ、いやほんの近い将来、俺はバーンを、そして全てを超える存在に・・。 ニヤリと笑う勇次郎。 その時。 勇次郎の背後から、澄んだ女の様な声が掛かる。 だがその声には、確かな殺気が篭っている。 「大物とぶつかりましたね・・。 アナタを倒したら、館長への挑戦権は十分あるでしょう・・」 ゆっくりと振り返る勇次郎。 そこには。 ・・声同様、女の様に美しい青年が立っている。 勇次郎は笑う。 「てめえか。 いいぜ、怪我人だけじゃ喰い足りねえ。 北辰カラテとやら、見せてもらおうかぁッ」 地上最強の生物・範馬 勇次郎 対 北辰空手の天才・姫川 勉、開戦す。 ゆらり、と姫川の周りで空気が揺らぐ。 だが、大きく揺れている訳ではない。 まるで水面に小さな石を投げ込んだ様に、姫川を中心として空気が静かに波紋を生んでいる。 一方、勇次郎。 まるで肉眼視出来る様に、全身から異様な殺気が放たれている。 激と粛。 ただ向かい合っているだけの2人だが、両者の個性の違いがくっきりと滲み出ている。 ほんの一呼吸、姫川が肺に空気を送る。 それと同時、長い脚を前後に開いて、少しヒザを曲げる。 そしてすぅ〜っと左腕を顔の前に置く。 掌は開いたまま。 右腕は腰の横に置き、やはり開手。 「北辰カラテって構えじゃねえな。 伝統派ってやつか、面白え」 その勇次郎の言葉に姫川。 「私は別に、北辰館の門下生ではありませんからね。 松尾 象山を倒す為に近くにいるだけです」 勇次郎は構えていない。 だが、今までポケットに突っ込んでいた両手を、スッと外へ出す。 「お互い、準備は良いようですね」 艶やかとも言える様な微笑で、姫川が言う。 「ケッ。 分かってるぜ、てめえの本性・・。 お上品ぶる事はねえ、本当のてめえで来な・・」 勇次郎の言葉を受けて、姫川の顔にまた微笑が浮かぶ。 だが先程までの優雅な微笑ではない。 笑みに冷徹さが宿っている。 美しい仮面の下に隠した悪魔性が、その表情に滲み出ている。 「さあ、俺を楽しませてくれや。 松尾 象山の懐刀とやらッ!!」 間合いは一足の間の、ギリギリ外にある。 即ち、お互いの足技が届かない距離。 勿論手技もだ。 この2人にとって、そんな間合いは無きに等しい。 ただ今のままでは、攻撃が届かないというだけだ。 どちらかがその気になれば、瞬きする間に殺傷圏に入る。 だが2人はまだ動かない。 睨み合ったまま。 姫川は構えのまま厳しい顔。 対して勇次郎は、両腕をダランと垂らし、見下した笑みを浮かべる。 動いた。 姫川である。 だがその動きは、構えたまま後方へジリジリと下がっている。 間合いが広がる。 怪訝な顔の勇次郎。 ついに2人の間合いは、最初の対峙の時の倍ほどに広がってしまった。 「おい・・。 逃げてえんなら追わねえぜ。 とっとと消え失せいッ!!」 勇次郎が猛て吼える。 だが姫川。 充分に間合いを空けたその場所から、フッと蹴りを繰り出す。 勇次郎の視界が塞がれる。 (目の前の土と石を蹴りやがったか。 小賢しいわッ!!) 勇次郎は怒り狂い、前へ出る。 しかし大量に蹴られた土が目に入り、僅かに勇次郎の左の眼球を刺激する。 勇次郎に一瞬隙が出来る。 同時に姫川は右前方へ走り込んでいる。 左目が一瞬利かない勇次郎。 ぶうん、と裏拳を振り回す。 だがその裏拳を姫川はギリギリで避わす。 ふっと姫川の右足が消える。 ・・バシぃぃッッ!! 豪快な音が響き渡る。 姫川の芸術的な右上段廻し蹴りが、これ以上無い角度で勇次郎に決まっている。 「面白ええぇ・・。 思ったより美味そうだな、てめえは」 鬼が悦びの表情でそう言った。 「言ったでしょう。 あなたの首を手土産に、松尾 象山に挑戦すると」 姫川も釣られて笑う。 勇次郎の両腕がすっと左右に大きく開く。 ・・範馬 勇次郎、本気の構えである。 勇次郎の本気の構え。 ・・それは、人間技を超えた速度・威力の拳と蹴りを、ただただ振り回し敵を屠る。 たったそれだけの技だが、決して見切れず破れずの、勇次郎不敗の構えである。 勇次郎は姫川に言う。 「褒めてやるぜ姫川・・。 まさか、てめえにこの構えを使う事になるたぁな」 「そうでなくては困ります・・。 その構えの範馬 勇次郎を倒さないと、松尾 象山には勝てませんからね」 その答えにかっと熱くなる勇次郎。 「小僧ッ、誰に向かって口を利いてやがるッッ!!」 みちり。 地面に肉片が転げ落ちる。 はっとする姫川。 左腕に痛みを感じる。 見ると、肉をエグり取られている。 (いつの間に・・?) 驚愕の姫川を尻目に、オーガと化した勇次郎の猛攻が始まる。 勇次郎の両腕が閃くたびに、姫川の肉体が血に塗れる。 そして新しい肉片が地に転がる。 まるでヤスリの様に。 「この範馬 勇次郎に吹き上がるたぁ・・、物知らぬにも程があるッ!! 刻み殺してくれるわッ!!」 姫川は構えを小さく絞り、完全にガードの態勢。 ダメージが蓄積されていく。 だが頭は逆に冷静になっていく。 でんとうはからてのごくい。 ・・そんな言葉が姫川の脳裏に浮かぶ。 そうだ。 伝統派の寸止め。 それだ。 寸止め。 それを直接打撃性(フルコンタクト空手)の空手家が言う時、多分に卑下した物言いになる。 そして実は、「寸止め空手」と伝統派空手を揶揄しているのは、当の姫川が所属している北辰会館である。 だが姫川は、元々伝統派空手の出身である。 それが松尾 象山と闘って以来、北辰会館に身を置いている。 だから、姫川は知っているのだ。 寸止め、とは技術なのだ。 「寸止め」自体を極めれば、恐るべき技法なのだ。 勇次郎の恐るべき攻撃に身を固めながら、姫川はポツリと言う。 ・・見切った、と。

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ザ・ファブル次回第218話「欺く男…。」のネタバレ予告ネーム

鬼を欺く男

概要 がにて2000年から2010年に渡ってしていた。 全25巻。 「」の続編であり、前作の・の、が。 を始めとした前作の登場人物も登場する。 大まかなあらすじ 入塾編 桃の息子・獅子丸を加えて、新生男塾は今日も男の道を魁る! 停学開けのガンコ番長がとひと悶着起こしたと思えば、の息子の弔い合戦に関東最強の暴走族「」と決闘! さらには臨海学校で宝さがし!? 男なら、死ねい! 死んで明日を掴み取れ! ワールド男カップ編 世界各国が「男」を競うワールド男カップが開催。 日本代表として獅子丸、信長、十蔵の三人は中国へ向かう。 世界中から集まる武芸者たちと命懸けで男を競う中、遂に日本代表は決勝にコマを進める。 決勝戦の相手は中国代表。 その筆頭・の魔の手が迫る。 ソドム七福神編 男塾の宿敵「昭和の怪物」が男塾に宣戦布告! 藤堂の仕掛けた卑劣な罠で桃は重傷を負い、一号生たちは藤堂と結託した暗黒武装組織「ソドム世界会議」との戦いに挑む。 新たにW男杯の袁紹やらも加わり、ソドムの作り上げた人間兵器「ソドム七福神」が襲い掛かる。 三面拳編 ソドム七福神を塾長の奮戦もあって全滅させた男塾。 そこに藤堂を見捨てたソドムが放つ巨大な弾道ミサイルが迫りくる。 獅子丸、信長、悟空はミサイルを受け止めようとするが、すべてはソドムの掌の上。 ミサイルは起爆せず洋上に浮かぶ塔へと三人をいざない、かつて男塾で活躍したと同じ姿をした後継者、百五十三代目三面拳が立ちはだかる。 瑪羅門編 ソドムとの戦いから月日は流れ、男塾はそんなに平穏でもない日々を送るかに思えた。 しかしその矢先、塾長逝去の悲報が流れる! 江田島の死にあの藤堂ですら涙する中、は塾生たちに驚愕の事実を伝える。 江田島は実は生きているのだが、呪いにより寸前になるまで衰弱していたのだ! 葬式はあくまで「奴ら」を欺く子芝居であり、塾長の親友であり社長であると共に、獅子丸・信長・袁紹・悟空・十蔵の5人は中国奥地に向かう。 江田島を救うため、呪いの元凶であるを討伐しようとする一行の前に、が現れ…。 再戦風雲羅漢塾編 かつて男塾と覇を競った西の名門。 その創設者で江田島塾長のライバルであるには死期が迫っていた。 男塾と羅漢塾は再び雌雄を決するべく、地獄駅伝五番勝負を開催する。 亜流魔偈呑編 羅漢塾頭目・清元と、死んだとされていた煌鬼を救うため、男塾は最後の決戦に挑む。 それこそ、謎の宗教団体「五芒星」の開催する武闘大会「亜流魔偈呑」。 謎のマスクマンもパーティに加え、男塾はかつて男たちの後継者と再び矛を交える! 関連項目 :続編 :同時期に連載されていた江田島塾長の若きりし日の活躍を描いた物語である! 関連記事 親記事 pixivision• 2020-07-16 18:00:00• 2020-07-16 17:00:00• 2020-07-15 18:00:00• 2020-07-15 17:00:00• 2020-07-14 18:00:00 人気の記事• 更新された記事• 2020-07-16 22:12:40• 2020-07-16 22:10:41• 2020-07-16 22:10:19• 2020-07-16 22:09:46• 2020-07-16 22:07:33 新しく作成された記事• 2020-07-16 21:58:07• 2020-07-16 21:56:32• 2020-07-16 21:51:53• 2020-07-16 21:19:39• 2020-07-16 21:21:58•

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【第30話 神域の男と鬼に挑む男】

鬼を欺く男

映画のストーリー 結末の記載を含むものもあります。 金鉱脈を発見したコーバリーとケイリイとはその分前から争い遂にコーバリーは殺された。 夫を失ったコーバリーの妻を昔から秘かに想っていたのは賭博打ちヘネーヂであった。 20年は過ぎた。 コーバリーの妻はその死際に博徒ヘネーヂに1人の娘ドナの将来を託した。 此の町へボッブという1人の若い技師が来た。 ふとした事から此の青年とドナは恋に落ちた。 ヘネーヂは此の青年を不真面目と誤り信じたが、青年は飽くまで純な気持ちでドナを愛し鉱脈探索に出かけた。 彼は鉱脈を奪おうとする一味の手先に撃たれ傷ついた。 此の一味の首領はかつてコーバリーを殺したケイリーでやがて悪運尽きて黒人の召使に殺され、ボッブを撃った悪漢も、ドナの為に青年の身を護らんとしたヘネーヂと戦って斃された。 しかし憐れにも、己が一生の胸中の恋人たりし亡きコーバリーの妻の愛児ドナを幸福に導く事に後半生を送ったヘネーヂもこの戦いに死んだ。 彼の犠牲は然し空しきものでなく、ドナはボッブと幸福な安全な生活に入り得た。

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